アイラの旅、さらに次の蒸溜所の紹介です。
今回は ラフロイグ蒸溜所 (Laphroaig Distillery)[地図] です。

ラフロイグとは 「広い湾の美しい窪地」 という意味を持ち、その穏やかな名前とは裏腹に、
味のほうは、強烈に炊き込まれたピートと潮の風味が特徴的なシングルモルトウイスキーです。


[ラフロイグ - 広い湾の美しい窪地]

ラフロイグといえば、完璧主義のイメージ。
昔の蒸溜所の所長の口癖は 「No half measures (中途半端はなし)」
出来上がるウイスキーは、個性が強すぎて好きになるか、嫌いになるかの 2 つに 1 つ。
製造工程においても、過去に経営が厳しくなったときに安価なバーボン樽で熟成を行っていた時代、そのバーボン樽がラフロイグにあう絶妙なバニラ香を植えつけると分かった時に、
「今後は熟成にバーボン樽以外は一切使わない」 と、1 か 0 かの決断を下し、
そしてそれを伝統にする。

そのように、やるときには徹底的にやるのがラフロイグです。

ラフロイグに到着して、まず印象深かったのは、蒸溜所と接する湾の静かな情景と、磯の香りです。 これまでに訪れたカリラとも、ブナハーブンとも、ボウモアとも、ブルイックラディとも、海の感じが違い、とても穏やかで静かな情景であったことが予想外の印象でした。


[到着してまず目に入るラフロイグの佇まい]


[ラフロイグ入り口。 これを抜けると...]


[目に飛び込んでくる湾の情景]


[まさに静寂という言葉がふさわしい情景]


[静かな湾に臨むラフロイグ]


[岸辺には海草が流れ着き、磯の香りが漂います]

当然ながら、ラフロイグは蒸溜所の見学ツアーを開催しています。
10:15 からと 14:15 からの一日 2 回、開催していまして、予約が必要。
予約は ラフロイグのWebページ から行うのですが、予約を行うには、ラフロイグのボトルを購入し、そのバーコードを Web 上で入力する必要がある、というように、他の蒸溜所には見ないほど手の凝った、こだわりのあるものでした。


[ラフロイグのゲストショップ。 グラスとか、T シャツとか、色々ありました]

そして、ラフロイグのツアーが始まります。


[製麦のプロセス。 ここラフロイグとボウモアだけは、自分で麦芽を造り続けています]


[ピートを炊き込む部屋。 壁のはがれ具合がピートを炊き込み続けた月日を語ります]


[ラフロイグのピート。 専用設備で大量に運び込んでいる様子]


[そして運び込まれたピートを..]


[ここで徹底的に炊き込みます]


[積み上げられたピート。 ラフロイグのあの強烈なピート香は、こうして生まれてくるのです]


続いては、他の蒸溜所と同じく、糖化 ・ 発酵のプロセスへと進みます。


[ラフロイグの発酵層はステンレスです]

ボウモアの発酵層は木製でした。 ですが、ラフロイグはステンレスです。
ステンレスのほうが耐久性が良く、便利だそうなのですが、ウイスキーによっては、昔ながら使ってきた木製をステンレスに変えると、味が変わってしまうことがあるそうなのです。
ラフロイグは実際に実験した結果、発酵層をステンレスに変えても味が変わらないと分かり、ステンレスに変えたそうなのですが、その実験にかかる時間は 10年以上...
かつそれは、科学的な根拠のない、やってみないとわからない未知の世界...

ウイスキー造り、それはまさに、忍耐と根気を要する神秘の世界です。



[ステンレス発酵層の内部の様子]


[発酵中のもろみを試飲させてくれました。 すでにピート香が強烈でした]


[そして、蒸溜します]

というようで製造プロセスは完了。
ボウモアと同じく、最後にラフロイグの試飲です。


[ラフロイグのゲストショップのカウンター。 それぞれライティングされているのがいい感じ]


[ラフロイグで飲むラフロイグ]


以上、ラフロイグ蒸溜所。 その景観から、製造課程まで一通り。
思い返せば、ラフロイグは今回の旅の中で、もっとも印象深い蒸溜所でした。


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静かで穏やかな湾の情景の中、伝統堅持を徹底的に重んじ続ける。
その強い意志でもって、自ら信じた道を歩み続ける。
見た目はクールで、中身は熱い。 孤高の蒸溜所、ラフロイグ。



お届けいたしました。

 

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