山崎 梅酒樽後熟 [ジャパニーズ]
[山崎梅酒樽後熟]
それは、シングルモルトウイスキー山崎を、
梅酒を貯蔵した樽でさらに 2年間熟成させたものです。
バー限定で3000本で発売、価格も高めで 9000円近くするウイスキーです。
それを聞いてまず、そもそも梅酒とは、
その製造の工程において、樽にいれるものではないはず。
なぜそのような樽があるのだろうか、との疑問をもちました。
調べてみると、サントリーは山崎の樽で熟成させた梅酒も売り出しています。
[山崎蒸溜所貯蔵梅酒]
山崎梅酒樽後熟とは、その梅酒の熟成に使った樽を、再び山崎を熟成させる樽としてもどして使ってできた製品であるように思えます。
整理をすると、
・山崎の熟成に使った樽がある (山崎ができる)
・その樽で梅酒を熟成させる (山崎蒸溜所貯蔵梅酒ができる)
・再びその樽を、山崎の熟成に使う (山崎梅酒樽後熟ができる)
というように、樽の目線で見直してみると、
その変遷には少々ややこしい、いったりきたりの使いまわしの経緯の様子がうかがえます。
この山崎梅酒樽熟成ですが、ふつうにおいしいです。
山崎のみならず、日本のウイスキーには全体として、まろやかさの背景に必ずといっていいほど、果物の甘さやすっぱさの雰囲気を入り交じえて含んでいる印象があります。
この山崎梅酒樽後熟とは、自然な流れでもってその甘さやすっぱさの雰囲気を強調し、より親しみやすい味わいを形にしているウイスキーであるような気がします。
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パラドックス・カリラカスク [アイラ]
[パラドックス・カリラカスク]
なんとそれは、
ビールをシングルモルトウイスキー・カリラの空き樽で熟成させたビールです。
アルコール分10%程度のストロングビールです。
その試は、自分にとってかなり衝撃的でした。
なぜかというと、それは、
ビールとウイスキーという、端から見ているとまったく違うジャンルの酒をあわせこむ。
という、普段普通に思いもしない試みを製品として形にしているためです。
このパラドックス・カリラカスクの味はどういうものかというと、それは、
スタウトを重く深く、苦味を通して落としこんでいるような感じのするものでした。
同時に、すっぱさもあわせて強調されて出ているので、そこからは、なんだか未完成な印象までもいだいてしまうと同時に、その試行錯誤感がとても印象深いビールでした。
[パラドックス・カリラカスクのボトル裏のラベル]
ボトル裏のラベルには、ビールを熟成させる樽として、このカリラであるアイラモルトをはじめ、スペイサイドモルトやシングルグレーンなど、さまざまウイスキーの樽を駆使している。 と書かれています。 そう書かれると、今後のバリエーション展開に対して、おおいに期待を抱いてしまいます。
直感的には、ビールとは、そのアクセントポイントとして、ヨーロッパのビールやプレミアムモルツに見られるように、華やかな甘めの香りをほのかにかもし出すようなアプローチをとるのが、口当たりのよさや、特別感を演出する上でよいのだと思っています。
したがって、ビールを熟成させるウイスキーの樽としては、アイラモルトより、スペイサイド系のモルトの樽のほうがあっているのでは、という気がします。
また、このようなアプローチをとる新手の製品を目の当たりにしてしまうと、
「プレミアムモルツの山崎樽熟成」 などといったような、国内製品の組みあわせによりなせる酒が、一体どのようになるのだろうか・・・などということが気にかかってしまいます。
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ボウモアのラベル [アイラ]
シンプルなラベルに変わります。
[左が新しいボウモア。 右がこれまでのボウモア]
方向性としては、シンプルに洗練されたラベルになるのですが、
個人的には、昔のボウモアのラベルのほうが好きでした。
なぜかというと、昔のボウモアのラベルとは、潮風吹くインダール湾に臨むボウモア蒸溜所の情景や、ウイスキー造りの歴史やその威厳のある雰囲気をうまい具合にかもし出しているラベルであったためです。
[紋章のようなイラスト]
まず、この紋章のようなイラストが、ボウモアとはアイラの島で最古の歴史のあるウイスキーである雰囲気をしっかりかもし出しています。 アイラ空港にあった壁画も思い出してしまいます。
そして、ボウモアといえばカモメです。
ボウモア蒸溜所が臨むインダール湾には、上空を常にカモメが舞っています。
[ボウモア蒸溜所近辺を舞うカモメ]
[アイラ島の大地を背に舞うカモメ]
このように、昔のボウモアのラベルには、空を舞うカモメのイラストが象徴的に描かれています。 その空を舞うカモメのイラストは、ボウモア蒸溜場とインダール湾の情景をよく描いていて、特に訪れたことのある人に対し、それを強く想起させます。
というのは、ボウモア蒸溜所付近のインダール湾には、強い風が吹き続けています。
ボウモア蒸溜所付近のカモメは、その強い風から揚力を得ることができるので、羽ばたくことなくして、翼を広げたままにして、空を舞い続けることができます。 しがたって、見る人としては、まさにボウモアのラベルに描かれているようなインダール湾を舞うカモメのシルエットが自然として目に映り、印象として強く残るのです。
[ボウモア上空を舞うカモメ]
ウイスキーとは、自然の恵みがもたらす奇跡の酒であり、
そのウイスキーの雰囲気を理解するうえで、作られている地の情景、風土の印象というものはとても大切なわけであり、そこのところをうまい具合に表現できている昔のボウモアのラベルとは、他のウイスキーには見ることのない、比類のないデキバエのものであるという、そのような印象があったため、そのボウモアのラベルがシンプルにしておとなしく、無難な路線のものに変わってしまうことにたいしては、いささか残念な思いを抱いてしまいます。
ボウモア自体は決してなくなるわけではない。
なのだけれども、そのラベルの変化に対し、なんとなくした喪失感を抱いてしまう。
それと同時に、酒にとってラベルというものは、とても大切なものであるということをまた思う。
かわりゆくボウモアラベルの印象です。
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山崎蒸溜場 2008 [ジャパニーズ]
それは、京都の傍らの山間に凛として佇む 「和の蒸溜所」 です。
水と緑の国 - 日本が誇る、ジャパニーズウイスキー発祥の地です。
山崎蒸留場とは、日本で最初につくられたサントリーの蒸溜場であり、その創業は 1923年。
場所は、京都から電車ですぐの山崎駅から徒歩で向かえる便利な場所に位置する蒸溜所です。[地図]
[山崎駅にある山崎の看板]
[山崎蒸溜所 外観]
[蒸溜所の背後には山がそびえます]
[結構険しい山がそびえます]
[雰囲気はしっとりとして落ち着いています]
[唐突にして立ち上がる煙に、驚かされます]
[山崎は緑の山を背に、茶色の建物がたちひしめく蒸溜所です]
そして、山崎ウイスキー館に入ります。
山崎ウイスキー館の内部には、光を浴びる山崎原酒の数々がならべられています。
[原酒の回廊]
[背後からライティングされる原酒はとても神秘的に見えます]
[原酒は熟成樽により味個性が異なります。 色も異なります]
そして、山崎のツアーが始まります。
[糖化層はステンレスと木のあわせ技で]
[発酵は普通に木で]
続いて、蒸溜の部屋へ向かいます。
[山崎のポットスチル]
山崎のポットスチルは、こうごうしいまでに金色に光り輝いています。
アイラの蒸溜所で見たポットスチルは、ありのままというか、吹きっさらしというか、蒸溜する酒がよければそれでよし、その見た目は着飾らない。 そんな感じのする、荒々しさ感漂うポットスチルばかりである印象があったので、この山崎の金色に光り輝くポットスチルには、ちょっとやりすぎ... との感じを覚えてしまうくらいに、光り輝くものである印象を受けてしまいました。
[金色に光輝くポットスチル]
山崎のポットスチルには形が 2種類あります。
普通の形のポットスチルと、ふくらみのあるポットスチルの 2種類がありまして、それぞれ、蒸溜の速さに違いがでるので、結果としてそれぞれできる味は異なるそうです。
山崎はその 2種類のポットスチルを組み合わせて作るウイスキーであり、
そのやりかたは、世界的に見ても珍しい蒸溜所であるそうです。
[ふくらみのあるポットスチル]
そして、続くは 「熟成」 です。
[山崎熟成庫]
山崎蒸溜所の熟成庫は、心安らぐような木の香りで満ち溢れています。
それは、アイラの蒸溜所ではまるで感じることのできないほどに、穏やかで品のある香りであり、ウイスキーの味の 60% はこの熟成の課程で決まるものであることを考慮すると、自然として、この熟成の部屋の木の香りに山崎のアイデンティティを見出してしまいます。
[連なる樽]
[詰みあがる樽]
そうして山崎の見学は終了。
最後に待つは、恒例の試飲です。
[山崎ストレートとそのマザーウォーター]
試飲では、山崎と、その山崎を仕込む上で使われる水が出されます。
ウイスキーの仕込み水は、マザーウォーターと呼ばれます。
ウイスキーとは、この製造過程の仕込み水であるところのマザーウォーターで割るのが、一番おいしい飲み方であると言われています。 山崎のマザーウォーターは市販では売られていない水であるので、この組み合わせを味わえるのはここ、山崎蒸溜所のみとなります。
[山崎の水。 日本の水]
そのような山崎蒸溜所のありさまを見ていて、一番感銘をうけることは、
スコットランドの文化のものであるウイスキーという異国の酒を、
日本独自のものとして、自らの色によって見事に表現できていることです。
[和の庭]
[さりげなくして和を思わせる色彩を欠かしません]
山崎蒸溜所は、京都の雰囲気をかすかにかもし出しています。
この山崎のような、
・異国のもの取り入れて、
・自らのやりかたで新たに生みなおす。
という製品創造のアプローチとは、代表的な日本企業の実績にも見られるものであり、思いつく例をあげるとすると、ソニーのトランジスタラジオがそう。 トランジスタという、異国の音声増幅の基礎原理技術を、自らの持ちえる小型化の技術を用いてポータブルラジオに仕立て、世界に知らしめる、というような過去の流れを思い出す。(もちろんラジオというのは遠い昔の話ではあるが、ソニーというのはそのようなツギハギの繰り返しでもって、今までを生きているところがある)
海外から得たものを自国に取り入れ、自らの持ちえる技術と感性で熟成させて全体を形作る、という点では共通であるこのサントリーとソニーであるが、長い目で見たときに、特に模倣可能性という点において、その強みの本質というか、持続性のようなものは大いに違うような気がする。
そこのところ、どう違うのか。
技術は真似ができる。
なぜならば、技術とは人が作り出した 1 と 0 の組み合わせのようなものであるので、それは、時間の問題でもって、何かしらのかたちでもって、いずれかは誰かが真似することができる。
一方で、地の利とは、大地のもたらす恵みのようなものであるので、当然ながら、それはどれだけ時がすぎても、その地に住む人以外には、誰にも真似することができない。
「地の利」 とは、アタリマエだがユルギナイ強みを秘めている。
その 「技術」 と 「地の利」 の発する強みの違いとは、その特性にして、まるで 「中距離走者」 と 「長距離走者」 の違いを思わせるようなものであり、その違いとは、長い目で見ていると、ただジワリジワリと広まってゆく一方であるような、トテツモナイ違いであるような気がしてくる。
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文化とは土地に根ざすものである。
文化と密接に結びつく、いわゆる土地に根ざす産業というものは、奥が深く、趣があり、無理がなく、自然としてあるべき姿のようであり、人の情熱を駆り立てやすくして、物事の本質を突いているようでして、結果として息の長いものであるような気がします。
そう考えたときに、土地に根ざす文化を長い時をかけて産業に結びつけた姿を、今見事にして見せる山崎には、心底尊敬のまなざしを覚えてしまいます。
[山崎 - 和の情景]
そのようにして、
ふと思えば 「文化と産業の結びつき」 という観点から物事を考えさせられてしまう...
壮大なテーマが歩みきた歴史に込められている。
水と緑の国、日本が誇る、和の色彩に満ちた蒸溜場、山崎。
[山崎 - シングルモルトウイスキー]
その存在は、まさにして 「なにも足さない。 なにも引かない。」
ゆるぎない存在感を据える、不動のジャパニーズウイスキーです。
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サングレイン知多蒸溜所 [ジャパニーズ]
知多蒸溜所とは、サントリーのグレーンウイスキーを作るための蒸溜所です。[地図]
それは、工場地帯にひっそりと佇む 「沈黙の蒸溜所」 です。
[サングレイン知多蒸溜所]
知多蒸留所は、見学ツアーなどを行っていません。
そこを訪れる人もほとんどいません。
今回はその外観のみを歩いてみてまわってきました。
そのサングレイン知多蒸溜所のいでたち、ご紹介してゆきます。
[サングレインへ向かう途中の看板。 その周囲は重工業的です]
[このような工場地帯の中に知多蒸溜場は佇んでいます]
驚くべきことに、知多蒸溜所は工場地帯の真っ只中にあります。
周囲は化石燃料、サイロ、セメント工場などが建ちひしめく工業地帯でありまして、
その中に知多蒸溜場はひっそりと佇んでいます。
[知多蒸溜所 案内]
[知多蒸溜所そのものも化学工場のような感じです]
[ほかの蒸溜所とは、雰囲気が驚くほど違います]
[とてもウイスキーを作っているようには見えません]
そこは、恵まれた自然のなかにある一般的な蒸溜所とは、かけはなれた世界です。
[サングレイン知多蒸溜所 建物入り口]
サングレイン知多蒸溜所の建物はいたってシンプルです。
入り口付近には、精溜塔が飾られれています。
[精溜塔]
この精溜塔とは何かというと、グレーンウイスキーを蒸溜するための機械です。
一般的な蒸溜所でよく見る、蒸溜の機械といえばポットスチル。
一方で、グレーンウイスキーを蒸溜するときは、ポットスチルでなく、この精溜塔を使います。
この精溜塔を使う蒸溜の方式は、連続式蒸溜といいます。
それは、蒸溜酒を大量に生産するための技術であり、ポットスチルによる蒸溜 (単式蒸留) よりも、安価に多くの蒸溜酒を生みだせるのが特徴です。
[精溜塔内部]
ポットスチルの印象と清溜塔の印象は大きく異なります。
ポットスチルとは、その色、姿の雰囲気であったり、形の微妙な違いができあがるウイスキーの味に影響をあたえる未知なる要素を秘めたものであることを考えると、なんだかそれは、「神秘」 とか 「芸術」 とか、そういう類の言葉が似合いそうなものである印象があります。
一方で精溜塔とは、 「科学」 とか 「技術」 とか、そういう類の言葉が似合いそうなものである印象があります。
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そうしてできるグレーンウイスキーとは、
おとなしく、クリーンで、主張のすくない静かなウイスキーです。
グレーンウイスキーはそのまま飲まれることはほとんどありません。
モルトウイスキーと混ぜて 「ブレンドウイスキー」 として飲まれるものがほとんどです。
グレーンウイスキーとは、シングルモルトウイスキーのように、その名や個性が表立って現れることのないウイスキーなのです。
・ そのようなグレーンウイスキーは、その特徴から 「サイレントスピリッツ」 と呼ばれます。
・ 対照的に、個性の強いモルトウイスキーは 「ラウドスピリッツ」 と呼ばれます。
「ブレンドウイスキー」 とは、個性の強い 「ラウドスピリッツ」 と、主張の少ない 「サイレントスピリッツ」 を調和させてできるバランスの取れたウイスキーであり、グレーンウイスキーは役割として、その主張の少ない部分をつかさどるものであり、時にそれは、絵画の下塗りにたとえられます。
[ブレンドの世界。 思索の世界。]
そのような 「沈黙の酒」 であるサイレントスピリッツ、グレーンウイスキーを、
サングレイン知多蒸溜所は騒然とした工場地帯の中、
ブレンドウイスキーの土台を形作るべくし、日々黙々と蒸溜し続けています。
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ちなみに知多蒸溜所でつくられたグレーンウイスキーは単体でもうられています。
[知多蒸溜所特性グレーン]
山崎蒸溜所で 「知多蒸溜所特性グレーン」 として売られていて、その価格は少々高め。
熟成期間が長いので、サイレントなグレーンウイスキーであるにもかかわらず、
樽の木の落ち着いた香りがしっかりと植わっているウイスキーです。
一方で、サイレントスピリッツならではの静けさは、
・ 口にした後に、砂浜にしみこんでゆく波のように...
・ 広く深く、穏やかに染み渡ってゆくように...
・ まるで、その音がかすかに聞こえてくるかのように...
その主たる特徴である 「静寂」 を根底にして流す。
奥ゆかしさを秘めたウイスキーです。
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山崎とは [ジャパニーズ]
言葉にしがたい感銘を受けました。
[山崎 - なにも足さない。 なにも引かない。]
実際にこのポスターを見た瞬間、背筋に緊張が走り、強い衝撃をうけたかと思うと、続けざまに、磁石にひきつけられ押さえ込まれるような安定感にとらわれて、あたかも時がとまったかのような感覚にさらされました。
和の空間の中央帯状に広く堂々と黒を置き、左下部分にさりげなくおかれている山崎のボトルとグラスはその大きさ以上の存在感を放っている。 そして、その堂々と置かれている黒の右上部分に浮かぶようにおかれている 「なにも足さない。 なにも引かない。」 の言葉のつくる不動の世界には、心底恐れ入った感じ、しばらくこちらも動けなくなる感じがしてきます。
ここ最近、スコットランドのアイラ島をはじめ、様々な蒸溜所を訪れては、写真とともにその情景と感想を書き綴ることをしているのですが、そうしてゆくと、不思議とそれぞれのウイスキーの特徴を人の性格をなぞらえてみるような視点が備わってきます。
そうしたときに、この山崎のような存在とは、心底尊敬に値するような存在であり、目指すべきところであるような気がしてきます。
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アイラの島からの帰路 [アイラ]
蒸溜所めぐりは、前回のラガヴーリンでおしまい、続きましては帰路につきます。
最後に訪れたラガヴーリン蒸溜所から、アイラの飛行場へゆくには、
ポートエレンの街を通り抜けてその北へ向かいます [地図]。
[アイラ空港。 それは、建物ひとつ、飛行機ひとつの小さな空港です]
[空港前の道路。 バス停の向こうに家ひとつ。 それ以外は何も見えません]
[入り口の看板。 文字の雰囲気に古めかしさを感じます]
アイラ空港内部には、アイラの島がウイスキー造りに捧げてきた長い年月を感じさせるような絵画が何枚も飾られています。 それら、一枚一枚の絵画の繰り成す雰囲気が、
アイラ空港の印象として、今もとても強く残っています。
[アイラ空港の壁画。 アイラ島がウイスキー造りに捧げてきた長い年月を語ります]
当然ながら、空港にはウイスキーもたくさん飾ってあります。
[上から、ボウモアとアードベッグ]
[ブナハーブンに...]
[ラフロイグ]
[そして、古くからあるティーポットとポケットボトル]
というようなアイラ空港は、
その内装と飾り付けが独特の空気感を放っている小さな空港です。
そのようなアイラ空港を後にして、飛行機は大都市グラスゴーへ向けて、
飛び立ってゆくのです。
[上空から見るアイラ島]
[海の波は、ゆるやかに、かつ力強く。 島に向けて打ち付け続けます]
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実際にして、アイラの島を去ってみると、なんだかとても不思議な気分がした。
今先ほどまで訪れていたはずのアイラの島。
一体、あの島はなんだったのだろうかと、そんな不思議な気分がした。
アイラの島に流れる時間は他とは違う。
アイラの島は質素極まりない島であり、島のほとんどは手付かずの自然、街も民家もまばら、店といえば、生活を支える上で最低限必要な小さなスーパーマーケットと薬局程度しかないような、質素極まりない島である。
そのような質素な暮らしをする人のほとんどは、
昔から伝わってきたウイスキー造りを守り続ける生活をいとなんでいる。
スコッチウイスキーづくりの根本的な精神。
それは、 「現状維持」 にある。
先人達が奇跡的に造り出した神秘の酒を守り、そして、
世に送り続けることだけを考えて今を過ごしている。
したがって、そこで過ごす人たちは前に進むことを求めない。
過去を守り続けることだけを考えて今を過ごしている。
常に成長を求め続ける都会とは、求めるものが根本的に違っているのである。
そう考えれば考えるほど、
独特の空気を放つ遺跡のようなアイラの島を後にして、見慣れた大都市に戻ってゆくその一時には、言葉にしがたいなんとも不思議な気分にさらされてしまうのです。
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とある本で知ったのだが、「アイラ・アイテス」 という言葉があるらしい。
それはどういう意味かというと、アイラの島はその見た目として、手付かず吹きっさらしの荒涼とした、とてもクールでドライな印象があるのだが、その内にはゆるぎない熱さと情熱を秘めている。
「アイラ・アイテス」 とは、その、見た目と中身の印象における、ものすごい違いがアイラの島を訪れる人に対して忘れがたい心象を植えつける、という、
アイラの放つその比類ない魅力を表現するための言葉であるらしい。
実際に、そのアイラ ・ アイテスにとりつかれ、何度もアイラを旅する人はいるようであり、
今回、アイラの旅をしている最中にも、3人ほどから同じことを聞かれたことを覚えている。
「アイラへ来たのは何度目か」
という具合に。
一度アイラを旅した人は、そこを何度も訪れる。
アイラの島とは、それほどまでに、奥ゆかしい魅力を秘めた島なのです。
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そんなアイラの島。
今を保ち続けることしか考えていないほどに現状に対してゆるぎない自信を持ちながらにも、あわせて、他者に対する寛容さにも満ち溢れている不思議な島。
その、訪れる人を魅きつける不思議な魅力とは、アイラの人の持つ、
「自信と寛容の組みあわせ」
にあるのではないだろうかと、
アイラの島を実際に訪れ、そして去りゆきつつ時に思ってしまうのです。
そうして締めくくります。 アイラの旅。
写真とともに、お送りいたしました。
ラガヴーリン蒸溜所 [アイラ]
最後にご紹介するのは、ラガヴーリン蒸溜所 (Lagavulin Distillery) です。
ラガヴーリンとは 「水車小屋の窪地」 という意味を持ち、その場所はアイラの島の南、
ラフロイグとアードベッグのちょうど真ん中あたりに位置する蒸溜所です [地図]。
帰りの飛行機の時間に追われる中、立ち寄れたのはほんの 20分程度。
せわしい中、そこで見たもの撮ったもの感じたことを、以下に続いてお届けします。
[ラガヴーリン - 水車小屋の窪地]
鮮明で爽やかです。
赤いポストがアクセントカラーです。 青い空とよくあっています。
不思議と生活感が漂う気がしてきます。
[振り向けば草原と山..]
[足元をみれば小川..]
[そしてその小川の水は、蒸溜所内部へ引き込まれてゆくのです]
うわさでは、このあたりの水は琥珀色にそまっているらしいです。
が、残念ながら、遠目にみただけでは確認できませんでした。
[ラガヴーリンの琥珀色は、樽の熟成のみならず、仕込み水の影響にもよるそうです]
そして、海際へ向かってみます。
[ラガヴーリンが接する海]
空の青と芝の緑とあわせ、とても色彩鮮明な景観でした。
[何かを運び出す途中で止まっている車]
[海に向かうラガヴーリン蒸溜所]
ラガヴーリン蒸溜所。 斜面に点々とならぶ建物の数々が繰り成すその景観は、
向かう先にある海と対峙しているかのような迫力を訪れる人に与えます。
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という具合で、外観だけを見るつもりだったラガヴーリン蒸溜所なのですが、
偶然にもラフロイグで話しかけられた Lady of the Islay こと Christine さん というアイラ島の観光ガイドの方に、ここラガヴーリンでも偶然出会い、中でラガヴーリンをいただく機会に恵まれました。
[ラガヴーリンにて偶然いただいたラガヴーリン]
この Christine さんですが、とても有名なアイラ島の観光ガイドの方のようです。
日本の旅行記のテレビ番組にも出たことがあるそうです。
さらに、サントリーの人に招待されて、日本も訪れたことがあり、有名なレストランなど色々行ったことがあるようで、日本好きのようです(ラフロイグで偶然話しかけられたのも、日本人が好きだったから、というのがきっかけのようでした)。
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そのような具合で、帰りの飛行機の時間に気をとられつつも訪れたラガヴーリン。
その味を一言で言うならば、まさに 「アイラの銘酒」 です。
一般的に、アイラモルトは個性の強すぎる酒であるといわれている。
そのアイラモルトの優等生といえばボウモア。 そのボウモアには優雅な味わいを形にしながらして独特の癖がある一方で、ラガヴーリンは、アイラモルトでありながらにもシングルモルトウイスキーとしてのバランスを完璧に保っている。
アイラモルト独特の塩味とピート香はしっかりと出しつつも、全体として作る味には棘がなくて優雅でまろやか、とくに樽の風味を根底に強く植えつけていて、それが時にスペイサイド特有の流れを感じさせるところが、一通り味わってきたアイラモルトの中ではなかった際立って特徴的な印象のシングルモルトです。
[ラガヴーリン 16年]
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アードベッグ蒸溜所 [アイラ]
アードベッグとは 「小さな岬」 という意味を持ち、
その場所はアイラ島の南東の海岸に位置する蒸溜所です [地図]。
[アードベッグ - 小さな岬]
まずはいつものごとく、例のごとく、アードベッグ蒸溜所のその景観よりお届けしてゆきます。
(見学ツアーに参加する時間はなかったので、外観のみのご紹介となります)
[ポートエレンから東へ約4マイル。 前方に現れたアードベッグの看板]
[下り坂の向こうにはアードベッグが]
[アードベッグ入り口。 まず目に入るポットスチル]
[車をとめて、まず目に入る建物。 中にはアードベッグカフェがあります]
[蒸溜所内部。 敷地内部に建物が点在している感じでした]
[中をのぞいて見ると、看板のようなものをつくっていました]
[樽の先には海]
[海に臨むアードベッグ]
[その壁の汚れ具合は疲弊感を漂わせます]
[向かう先にある海は穏やか]
[ごつごつした岩肌が特徴的]
[振り返ってみるアードベッグ全体像]
[風雨にさらされ続ける樽]
というようなアードベッグ蒸溜所ですが、
アードベッグといえば 「徹底的に炊き込まれたピート香」 で有名です。
ピートといえばアイラモルトの象徴、とくに以前ご紹介したラフロイグでは、その特徴は徹底的にピートを炊き込むことである、とご紹介しましたが、ここアードベッグのピートの炊き込みぶりは、さらにその上をゆきます。
参考として、ピート香の数値指標を書いてある本を見つけたので、その内容を紹介します。
ピート香はフェノール値という含有率で表現することができるそうです。
有名どころのウイスキーに対する例をあげると、
・マッカランは 「1ppm」
・カリラ、ラフロイグ、ラガヴーリンは 「35ppm」
・アードベッグは 「55ppm」
というような数字が出ているらしく、
ウイスキーのロールスロイスと呼ばれる、優雅でまろやか、誰からも好まれやすいマッカランの 1ppm を基準にして単純に比較すると、アイラモルトの中でもピートが強いラフロイグなどはその 35倍、アードベッグにいたってはその 55倍ということで、アードベッグが他のアイラモルトと比べても、群を抜いて強くピートを炊き込んでいる状況がうかがえます。
誰よりも徹底的にピート香が炊き込まれているウイスキー。
それがアードベッグなのです。
[アードベッグには立派なカフェがあります。 これはその入り口]
[アードベッグカフェ内部。 ショップもしっかりありました]
[アードベッグは犬がトレードマーク。 ショップ入り口の足元を撮影]
というように、主に外観を中心にお届けしました、アードベッグ蒸溜所。
その味ですが、ピート香最強の事実が示すだけあり 「力強すぎる」 という言葉がまさに似合うのがこのウイスキーであり、あたりは本当に強烈。 とくに初めのうちは、激しく揺さぶられる感じがするほどまでにピート香の強いウイスキーです。
なのですが、飲み続けていると、だんだんその強烈なピートになれてきて、その裏に潜んでいる香りと味のベースに流れる複雑で繊細な味わいが気になりだす... というような、
「付き合いづらいが奥深い」
不思議な世界をつくっているウイスキーです。
[アードベッグ - TEN Years old]
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ポートエレン [アイラ]
ポートエレンとは、アイラ島にある港街の名前です。
ポートエレンは島の南に位置し、ボウモアからラフロイグやラガヴーリン、
そして、アードベッグなどの蒸溜所へ向かう際には、必ず通り抜ける港街です[地図]。
[ポートエレン - 現地で入手した地図を撮影]
ポートエレンは静かで広々とした港街です。
遺跡のようなアイラの島を走り続けた後にたどり着くと、なんだかとても近代的な印象をうけてしまう港街です。
そんなポートエレンの街並み、ラフロイグに向かう途中で一瞬ですが車を降り、
その景観を写真で収めてきたので、ご紹介します。
[ポートエレンの街に入ってきたところ]
[ボウモア同様、建物の壁は基本は白]
[広々とした静かな街並み]
[街と車と。 アイラの島を旅する感じの一枚]
[アードベッグを記す標識]
そして、湾の近くへ向かってみます。
src="/_images/blog/_4fe/mnomu/DSC00435.jpg" width="320" height="214" border="0" align="" alt="湾に停泊する大きな船が見えます。 あの船でアイラモルトを出荷して行くのでしょうか..." />
[湾に停泊する大きな船が見えます。 あの船でアイラモルトを出荷して行くのでしょうか...]
[ポートエレンの砂浜は、白く広く]
[面する湾には、ラフロイグと同じように海草が目に付きます]
[工場らしき建物が... あればポートエレンのモルトスターでしょうか]
このポートエレンには、モルトスターという製麦業者があります。
ここで製麦された麦芽は、カリラなどを初めとする主要なアイラ島の蒸溜所へ届けられ、ウイスキー造りに利用されています。
そのポートエレンのモルトスター、以前は蒸溜所だったそうです。
今は製麦部門のみが残り、活動を続けている状況なのだそうです。
ポートエレンはその昔、ポートエレンと名のつくアイラモルトを造っていたのです。
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そのポートエレン蒸溜所は、1830年から 67年まで 40年近く休止した後、再び活動を再開、そして 1983年にとうとう閉鎖という変遷をたどっていて、既に今から 25年前に閉鎖をしてしまっています。
なのですが、そのポートエレンのウイスキーは、現在市場に出回っています。
蒸溜所は閉鎖されているのに、なぜポートエレンは市場に出回っているのかというと、それは、そもそもウイスキーは熟成に長い年月をかけてできあがるものであるので、閉鎖するまでに熟成をはじめたウイスキーが、今となり熟成の時を終え、市場に出回り続けているという状況なのです。
それは、何一つ不思議なことではないのですが、遠い過去に閉鎖した蒸溜所のウイスキーが今市場に出回っている事実には、ウイスキーが長い年月をかけて完成される製品であることを、改めて実感させられてしまいます。
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ちなみにポートエレンは高価です。
消え行くことが分かっている、あとが限られた存在であるので。
ですので、自分は飲んだこともないですし、買ってもいないので、今回は写真も撮れず...
との事情にともない、以上でおえます、
アイラの島の港街、ポートエレンのご紹介でした。
ラフロイグ蒸溜所 [アイラ]
今回は ラフロイグ蒸溜所 (Laphroaig Distillery)[地図] です。
ラフロイグとは 「広い湾の美しい窪地」 という意味を持ち、その穏やかな名前とは裏腹に、
味のほうは、強烈に炊き込まれたピートと潮の風味が特徴的なシングルモルトウイスキーです。
[ラフロイグ - 広い湾の美しい窪地]
ラフロイグといえば、完璧主義のイメージ。
昔の蒸溜所の所長の口癖は 「No half measures (中途半端はなし)」
出来上がるウイスキーは、個性が強すぎて好きになるか、嫌いになるかの 2 つに 1 つ。
製造工程においても、過去に経営が厳しくなったときに安価なバーボン樽で熟成を行っていた時代、そのバーボン樽がラフロイグにあう絶妙なバニラ香を植えつけると分かった時に、
「今後は熟成にバーボン樽以外は一切使わない」 と、1 か 0 かの決断を下し、
そしてそれを伝統にする。
そのように、やるときには徹底的にやるのがラフロイグです。
ラフロイグに到着して、まず印象深かったのは、蒸溜所と接する湾の静かな情景と、磯の香りです。 これまでに訪れたカリラとも、ブナハーブンとも、ボウモアとも、ブルイックラディとも、海の感じが違い、とても穏やかで静かな情景であったことが予想外の印象でした。
[到着してまず目に入るラフロイグの佇まい]
[ラフロイグ入り口。 これを抜けると...]
[目に飛び込んでくる湾の情景]
[まさに静寂という言葉がふさわしい情景]
[静かな湾に臨むラフロイグ]
[岸辺には海草が流れ着き、磯の香りが漂います]
当然ながら、ラフロイグは蒸溜所の見学ツアーを開催しています。
10:15 からと 14:15 からの一日 2 回、開催していまして、予約が必要。
予約は ラフロイグのWebページ から行うのですが、予約を行うには、ラフロイグのボトルを購入し、そのバーコードを Web 上で入力する必要がある、というように、他の蒸溜所には見ないほど手の凝った、こだわりのあるものでした。
[ラフロイグのゲストショップ。 グラスとか、T シャツとか、色々ありました]
そして、ラフロイグのツアーが始まります。
[製麦のプロセス。 ここラフロイグとボウモアだけは、自分で麦芽を造り続けています]
[ピートを炊き込む部屋。 壁のはがれ具合がピートを炊き込み続けた月日を語ります]
[ラフロイグのピート。 専用設備で大量に運び込んでいる様子]
[そして運び込まれたピートを..]
[ここで徹底的に炊き込みます]
[積み上げられたピート。 ラフロイグのあの強烈なピート香は、こうして生まれてくるのです]
続いては、他の蒸溜所と同じく、糖化 ・ 発酵のプロセスへと進みます。
[ラフロイグの発酵層はステンレスです]
ボウモアの発酵層は木製でした。 ですが、ラフロイグはステンレスです。
ステンレスのほうが耐久性が良く、便利だそうなのですが、ウイスキーによっては、昔ながら使ってきた木製をステンレスに変えると、味が変わってしまうことがあるそうなのです。
ラフロイグは実際に実験した結果、発酵層をステンレスに変えても味が変わらないと分かり、ステンレスに変えたそうなのですが、その実験にかかる時間は 10年以上...
かつそれは、科学的な根拠のない、やってみないとわからない未知の世界...
ウイスキー造り、それはまさに、忍耐と根気を要する神秘の世界です。
[ステンレス発酵層の内部の様子]
[発酵中のもろみを試飲させてくれました。 すでにピート香が強烈でした]
[そして、蒸溜します]
というようで製造プロセスは完了。
ボウモアと同じく、最後にラフロイグの試飲です。
[ラフロイグのゲストショップのカウンター。 それぞれライティングされているのがいい感じ]
[ラフロイグで飲むラフロイグ]
以上、ラフロイグ蒸溜所。 その景観から、製造課程まで一通り。
思い返せば、ラフロイグは今回の旅の中で、もっとも印象深い蒸溜所でした。
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静かで穏やかな湾の情景の中、伝統堅持を徹底的に重んじ続ける。
その強い意志でもって、自ら信じた道を歩み続ける。
見た目はクールで、中身は熱い。 孤高の蒸溜所、ラフロイグ。
お届けいたしました。
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ブルイックラディ蒸溜所 [アイラ]
今回は ブルイックラディ蒸溜所 (Bruichladdich Distillery)[地図] です。
ブルイックラディ蒸溜所は、インダール湾をはさんでボウモアとちょうど対岸にある蒸溜所であり、その名は 「海辺の斜面」 を意味します。 ブルイックラディは、その過去を振り返るに、操業停止という厳しい時代もあったのですが、今は無事、再び、ウイスキーを作り続けている蒸溜所です。
本当は蒸溜所の見学を予定していたのですが、飛行機遅延の影響で、ここ、ブルイックラディ蒸溜所へ立ち寄れたのはわずか 30分程度。 ですが、その雰囲気は大体つかめたので、以下再び、例のごとく、撮影した写真とともに現地の雰囲気をお伝えします。
[ブルイックラディ - 海辺の斜面]
[蒸溜所正面にあるポットスチル]
[正面入り口はこのような感じ]
[中に入るとすっきりとした感じ]
[そしてここがゲストショップ入り口]
[ゲストショップでは、グラスとか、ウイスキーとか色々売られています]
印象として、ブルイックラディは種類がやけに多い気がします。
ここのショップもそうでしたし、ホテルのバーでもその壁をしめるブルイックラディの面積が、他と比べて広かった気がします。
[ブルイックラディで飲むブルイックラディ]
[エメラルドと紺のタータン。 ボトルと同じ、建物と同じ、ブルイックラディのアクセントカラー]
ブルイックラディで特徴的なのは、そのエメラルドグリーンのボトルのカラーです。
こんな爽やかなカラーリングのウイスキーボトルは他を探してもないので、もしバーやお店でエメラルドグリーンのウイスキーボトルを見かけたのなら、それは間違いなくブルイックラディです。
なぜブルイックラディはエメラルドグリーンなのか。
とても気になっているのですが、今回蒸溜所を訪れてみて、それは、アイラ島の西に位置するブルイックラディ蒸溜所からみた光が染める、インダール湾の色彩にあるのだろうと思いました。
[ブルイックラディから見るインダール湾]
インダール湾の遠くの部分の色が、かすかにブルイックラディのエメラルドグリーンと、同じ色に染まっている気がします。 ボウモアから見たインダール湾とは、その表情は明らかに異なります。
[近寄ってよくみると、やっぱりそんな気がします]
[青い空とエメラルドの海、緑の芝生のブルイックラディ]
そのような地におき造られ続けているアイラモルト、ブルイックラディ。
その味は、ピートをあまり炊き込まない、軽快さを特徴とするブナハーブンと似たものあり、比較的ドライ、いろんな味が、まるで砂のように複雑に広がるようなウイスキーです。
[ブルイックラディ12年]
以上、ブルイックラディでした。
続きましては、アイラの島の南へ向かいます。
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アイラの島での移動 [アイラ]
それまでに移動したアイラ島北部の景観の写真を、さらりとお届けすることに。
まず、アイラ島全体は以下のような形をしていて、
中心にボウモア、右上にカリラとブナハーブン、左上にブルイックラディがある、
という位置づけになっていて、旅前半ではこの北部の蒸溜場をめぐっている状況です。
[アイラ島全体の地図。 現地で入手したもの。 手書きイラスト的な雰囲気がとてもいい]
車で走っていてまず印象深かったもの。
対向車との挨拶、そして1車幅の道路が与えてくれるリズム。
ここ、幅が狭いので、当然ながら対向車とすれ違うときには、どちらかが必ず定期的にある待避所に入り、もう一方が通り過ぎるのを待つ。 すれ違いざまには、向かいの運転手と手で軽く挨拶を交わす。 それが一本道でひたすら長く続くので、行き交う人は、自然にそれを、何度も何度も繰り返す。 気づいたときには、ずいぶんと多くの人と挨拶をした気分になっている。
[通り過ぎる車を待つ。 何度も何度も繰り返す]
対向車との挨拶は、待避所でまっているときだけではありません。
2車線道路で普通にすれ違うときにも、来る車、来る車、すれ違う際にはかならず手を軽くあげて挨拶を交わします。それが、アイラの島のならわしなのです。
[すれ違い様には手で挨拶をかわす。 それがアイラのならわし]
そんな、アイラ島でのすれ違う車との関係。
何気なく、自然であるといえばそれまでなのだけれども、不思議とそれがアイラの島を走ってみて、今だに強く、感覚的に残っている記憶なのです。
続いては景観。
以下、主に友人が隣で撮ってくれた写真をご紹介。
[石の壁とヒースの花。 アイラの印象深い景観のひとつ]
繰り返しになりますが... この遺跡のような景観がとてもよいです。
[民家とヒースの花]
民家脇に広がるヒースの花。
ちなみにボウモアの香りに含まれる独特な甘さ、華やかさは、ピートに含まれるこのヒースの花の香りなのだそうです。
[青空のアイラの景観]
厳かながらに軽やか、爽やか。
[ふと行き着いてみたアイラ島北西部]
[降りて辺りをみわたせども、そこには何もない...]
[標識さえもまばらに...]
[羊はいたるところに。 常に草を食べています]
[車をおりるとこちらをにらんで止まります。 誰だ、お前は・・と]
[見る方角によっては、光の加減で、景観全体が淡くなる...インダール湾北側より]
[そんな印象深い、アイラ島北部の景観の数々...]
・・・ いい感じです、アイラの島、思い返してみて改めて。
写真の数々、思うがままに、お届けしてみました!
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ボウモア蒸溜所 [アイラ]
いよいよ、ボウモア蒸溜所 (Bowmore Distillery)[地図] の紹介です。
ボウモアといえば、一般的にはアイラモルトで一番有名、
地理的にもアイラ島のちょうど真ん中に位置し、味としても、
個性の強いアイラモルトの中で一番バランスよく作られている、といわれているウイスキーで、
アイラ島に来たならば、ここは必ず訪れるべきである、というような有名な蒸溜所です。
ボウモアとは 「大いなる岩礁」 という意味を持ち、その名からはインダール湾から打ち付ける厳しい波にさらされながら、ウイスキーを熟成させ続けている姿を思わさせられます。
[ボウモア - 大いなる岩礁]
ボウモアは、アイラ島で最古の蒸溜所でありながら、その景観、たたずまい、設備は洗練されたものであり、厳しい潮風に吹き付けられつつあるにも限らず、その壁は白く輝き、内装も綺麗に整えられ、一方では蒸溜所から出る余熱で温水プールを敷地内に持っているほどの、近代的な蒸溜所である印象をうけました。
[ボウモア入り口。 市内から撮影]
[ボウモア温水プール入り口]
ボウモアは、蒸溜所の見学ツアーを行っています。
その数、10時、11時、14時、15時からの一日合計 4回、予約は不要で 10分前までにカウンターでお願いをすれば大丈夫です。価格は一人 4ポンドでした。
まず。ボウモアの見学ツアーで見せてもらったのは、麦芽作りのプロセス。
大麦を糖化して、発酵させるために、水を加え、乾かす作業を何回か繰り返し、発芽させる作業です。
[麦芽作り。 かなり人力でこなしています]
[発芽した大麦]
続いては、ここで発芽した麦芽を、最終的に乾燥させるために、ピートで炊き込みをします。
[このように、部屋に発芽した大麦を敷き詰めて...]
[下からピートで炊き込み、乾燥させます]
[ピートです。 アイラモルトのスモーキーフレーバーの秘訣はこれにあります]
というように、ウイスキー作り、一番初めのプロセスとして、麦芽をつくるわけなのですが、
今、多くの蒸溜所は、この麦芽作りをモルトスターという外部の業者に委託します。最近はそれが一般的なのだそうです。
モルトスターでは、蒸溜所から提示された情報に従い、機械を駆使して麦芽を作るそうなのですが、アイラ島ではボウモアとラフロイグのみは、この麦芽作りを外部に委託せず、すべて自らの手で、昔ながらのやりかたで行っているのが、特徴なのだそうです。この伝統的なやりかたが、ボウモアの味を維持する上で欠かせないのでしょう、きっと。
[糖化]
続いて糖化です。砕いた麦芽と水を混ぜて、糖化させます。
使う水は、ピート層をしっかりくぐったラガン川の水を使います。
[発酵]
続いては発酵、大きな樽で発酵させます。
[蒸溜]
そしていよいよ蒸溜です。ポットスチルで標準の 2 回、蒸溜をかけます。
[蒸溜の抽出制御]
蒸溜で出てきたアルコールは、初めと終わりは捨てて真ん中だけ使うそうです。
上の機械から出てくるアルコールでそのチェックを行い、調節するそうです。
そして最後、熟成です。
蒸溜で抽出したスピリッツを樽に入れておいておくわけですが、ウイスキーの味の 60% はこの時間で決まるといわれています。
[ボウモア熟成庫で眠るウイスキー]
ボウモア熟成庫の内部です。壁や天井が潮に結構やられていそうなのが印象的でした。
熟成の期間中、樽は外気の温度変化によって呼吸をすると言われます。ボウモアの潮気は、長い熟成の期間の課程で、この場で生まれます。
という感じで製造過程を一式紹介してもらったあとに、試飲をさせてもらえます。
[試飲する部屋からの眺め]
湾の眺めが良いきれいな部屋でした。試飲場所として、蒸溜所の中で一番すばらしかったです。
[ボウモアで飲むボウモア]
[ボウモアの歴史が壁一面に]
[カウンターの背後にならぶボウモアのラインナップ]
[ショップもとても充実していました]
というところで、一式、ボウモア蒸溜所でした。
他、ボウモア蒸溜所の印象ですが、いる人がとても親切で、気さくで明るい印象でした。
グラスゴー空港で飛行機遅延の状況を親切に教えてくれた元ボウモアディレクターの方、笑顔を絶やさず軽快なトーンで蒸溜所を紹介してくれたツアーアテンダントの女性、そして、ツアーが終わったあとに話しかけてきた、蒸溜所で働いている男性との会話には感慨深いものがありました。
・ まず、勢い良く 「アイラへはいつからきているのか」 と聞かれる。
・ 「昨日来たところで、今、ボウモアの見学に初めて参加した」 と答える。すると、
・ 「そうか、それなら蒸溜所を巡るのがいい。ブルイックラディで飲んで、ラフロイグで飲んで、アードベッグで飲んで、、、と巡るのがいい」 と大げさなボディランゲージと、リズムのよいトーンの声で勧めてくる。そこで、
・ 「もちろんそのつもりで、これから車で次々と向かうつもりだ」 と答えると、
・ 「OK、そうか、よかった。十分に楽しんでこいよ!」 といわんばかりの笑顔をこちらに向けて、去ってゆく・・・
そんな、ふと訪れた、なにげないひととき。
インダール湾から打ち付ける波の数々を眺めつつ、差し出された 2杯のボウモアを飲み干したあとに唐突にして訪れた、一瞬ながらにして忘れることができないひととき、でありました。
[ボウモア。 自宅で撮影。 蒸溜所で買ったチェイサーのカップと共に]
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ボウモア市内 [アイラ]
ボウモアは、もちろんあのシングルモルトウイスキーのボウモアでもあるのですが、
それは街の名前でもあり、ボウモアはアイラ島で一番大きな街です。
そのボウモア市内を歩いて回ったので、写真を一式ご紹介です。
[夕暮れのボウモア蒸溜所。 厳しい潮風を受け続ける姿が勇ましい]
[街中心にある坂道。 先には教会があります]
[黄色い花はアイラ島全体で象徴的]
[ボウモアのポスト]
[交通標識。 Port Ellen へ...]
[坂の上から市内を見下ろしたところ。 向こう岸が見えて、湾を眺めている感じがいい]
[ボウモア街の家々]
[花と標識]
[高台の墓地はボウモアの街全体を見守り続けています]
[アイラの建物。 真っ白な壁が印象的。民家も、蒸溜場も]
[潮風にやられた新聞。 強烈です]
[湾と一体感のある街並み]
[民家。 シンプルなたたずまいがいい]
[湾だけれど波は厳しい。 左から右へ、とどまるなく...]
はい、以上、写真でお送りしました。
ウイスキーと自然と共に生き続ける街、ボウモアの景観、でした。
次回はボウモア蒸溜所へと続きます。
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アイラで飲むシングルモルト [アイラ]
[ボウモア市内の Lochside Hotel]
今回は、そこのホテルにあったバーのご紹介です。
とりあえず写真を貼ります。
[バーの壁は、徹底的にアイラモルトで埋め尽くされていました]
[ポットスチルのオブジェなどもあり、なんとなく落ち着きます]
[アイラエールというビールもありました。 島のイラストがよいです]
[とりあえず、アイラモルトをストレートで飲み続けていました]
[メニューはなぜかモニタ上に...ちょっとがっかりでした]
[隣では現地の人がウイスキーを。 ビールをチェイサーにする姿がさすがです]
という感じのアイラのバーでしたが、せっかくなので、ウイスキーの飲み方について少し。
上の写真にあるように、現地の人は、ウイスキーはストレートで、口直しのチェイサーとして、なんとビールをのみます。ウイスキーがきつくなってきたら、テーブル上に水の入ったポットがあるので、それをいれてアルコールを落として飲み続けるような飲み方をします(強いですよね...)。
日本だと、チェイサーは暗黙の了解で水ですし、ウイスキー自体にも氷や水やソーダをいれますが、香りが命のシングルモルトウイスキーにとって、香りを殺す氷などは NG、基本、ストーレートでのみ、水を混ぜるのも多くて 2 倍まで、と言われています。(水割りやソーダ割りは、アルコールにあまり強くない日本でウイスキーを浸透させるために、サントリーが広めた日本独自の飲み方の文化です)
さすがにビールをチェイサーにするのは厳しいかと思いますが、シングルモルトウイスキーは以下のような飲み方をするのが最近は好きです。
シングル1杯、30ml をシングルモルト専用のグラスに注ぎ、
・初めの 15ml はストレートで。
・残りの 15ml は軟水のミネラルウォーターを 15ml ほど加えて。
初めのうちはシンプルにありのままのウイスキーの味と香りを楽しむ、
後半は水を入れて 2倍にすると、香りもよりひろがるし、アルコールの度数も半分程度に落ちて、飲みやすくなるので、いい気分転換にもなる、という感じの飲み方で、1杯のウイスキーから 2つの表情を楽しむことができるのです。(twice up というらしいです)
ちなみに加えるミネラルウォーターは、軟水のものがよく、身近にあるものとしては、サントリーの南アルプスの天然水がよいと思います。また、グラスは、リーデルから出ているシングルモルトウイスキー用のグラス(ヴィノム 416/80)が気に入っています。
[リーデルのシングルモルトウイスキー用グラス]
以上、現地のバーとウイスキーの飲み方について、でした。
次回は Bowmore になります。
ブナハーブン蒸溜所 [アイラ]
カリラから北に少しいったところにある、ブナハーブン蒸溜所 (Bunnahabhain Distillery)[地図] です。
到着した時間は遅かったのですが、カリラ同様に中に入れました。
[ブナハーブン - 河口]
ブナハーブンとは「河口」という意味で、近くにあるマーガディル川という川の河口からとっているそうです。仕込みに使う水もこのマーガディル川から直接とっているようで、ピート層を潜っていないストレートな水、モルトにもピートを焚き込まないので、アイラモルトなんだけれどアイラモルトらしくないのが、このブナハーブンです。
このブナハーブン蒸溜所ですが、雰囲気が厳か、まるで 50年くらい前から時間がとまっているかのような、落ち着いた存在感のある蒸溜所でした。
その辺、言葉で説明するのは難しいので、とりあえず写真でたくさん紹介します。
[車で下りながら前方に現れたブナハーブン]
[通路。 普段はここをせわしく人や物が行きかうのでしょうか]
[樽とアイラ海峡]
[湾の見通しの良い景観の蒸溜所でした]
[蒸溜している建物への入り口。 威厳バッチリです]
[モルトを砕いている様が目に浮かぶようです]
[ブナハーブンのポットスチル]
[ウイスキーを造りに重ねた月日を感じさせられます]
[ふと海が見えるところがいいです]
[青と緑が爽やかな一面もあります]
[アイラ海峡の波は、石の音を奏で続けていました]
[ブナハーブン全景]
[ブナハーブン。 遠くから撮影。 何もないところにただ蒸溜所だけが佇んでいます]
以上、主に写真でおとどけしました、ブナハーブン蒸溜所。
ブナハーブンの味の印象ですが、アイラモルトとしての潮味はかすかに残しながらも基本的には軽やか、アイラ海峡の波が奏でる石の音が、その軽やかさのイメージになんとなく当てはまる気がしました。
[ブナハーブン12年]
次回は、蒸溜所の紹介は一休みして、
泊まったホテルのバーについて、お届けします。
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カリラ蒸溜所 [アイラ]
カリラとは 「アイラ海峡」という意味で、目前に広がるアイラ島とジュラ島の間の海峡のことです。
飛行機が遅れたため、カリラへついたのは 17時程度と遅い時間、
だったのですが、門が開いていたため、その中に入って建物や風景をみることができました。
[カリラ蒸溜所。 入り口より]
このカリラですが、アイラ島の蒸溜所を一通り回ってみてから振り返ってみて思うに、
蒸溜所としてもっとも景観が美しい印象でした。
広く雄大に広がるアイラ海峡と、ジュラ島の大地を仰ぎながら、
凛として並ぶポットスチルの数々が作るその景観は、
ウイスキーが自然の恵みがもたらす奇跡の酒であることを示すにふさわしいものでした。
[カリラ蒸溜所。 内部より]
[カリラのポットスチル。 ガラス張りで良く見えました]
[アイラ海峡とジュラ島]
このカリラの味ですが、自分の印象では、
飾りっけのないシンプルストレートなアイラモルト、という印象です。
しっかりとアイラ特有のピートと塩の風味が混ぜ込まれていますが、
強すぎもせず、大麦の感じもしっかりのこっているので、比較的飲みやすい印象です。
[カリラ12年]
以上、カリラでした。
次はブナハーブンへ向かいます。
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アイラ島のその景観 [アイラ]
まずは、基本情報交通編より。
アイラ島は小さな島で、交通機関はあまり発達していません。
バスがある程度なのですが、時間に制約がでるので、
現地ではレンタカーを事前調達。
Web から予約ができる Islay care hire から予約をしました。飛行機おくれてすみませんって感じでしたが、便もしっかりつたえておいたので、ついたときには空港にいてくれて感謝、でした。
[アイラ島のレンタカーは MT です]
アイラ島は、淡路島程度の広さの島に、人口約 3000人程度が住む、
のどかな島です。その島の多くは、ピートと呼ばれる、長い時間を掛けて、
植物が炭化したもので覆われていて、それがアイラモルトウイスキーをつくるうえでの、
キーとなるような、いわば、手付かずの自然に恵まれた(維持し続けることができた)、奇跡の島です。
[ただ広い景観に広がる鳥の群れ...]
[お前は何者だ。 と、こちらを凝視する羊がいたるところに]
[アイラ島の車道を区切る壁は全部石積み。 島全体が遺跡のような印象を受けてしまいます]
そのような感じで、アイラ島の蒸溜所を巡る旅は始まります。
次は蒸溜所を訪れます。
アイラ島を訪れる [アイラ]
もちろんその目的は、ウイスキーの蒸溜場を訪れること。
まずはアイラ島へ到着するまで。
アイラ島へ行くには、2つの方法があります。
1 つ目は、グラスゴーから飛行機(ブリティッシュエアウエィズ)でいく方法で、
2 つ目は、フェリーで行く方法。
フェリーを狙うと、運転がかなり長くなりそうだったので、
今回は手っ取り早く 1 の方法を選択。
日本からグラスゴー(ヒースロー経由)までは格安航空券を取得、
グラスゴーからアイラまでは、ブリティッシュエアウェイズの Web から直接航空券を購入、
という方法でアプローチしました。(移動のための時間とお金は結構かかってしまいます...)
[ヒースロー空港をおりるといきなりあったウイスキーの店]
[アイラ島へ。 グラスゴー空港にて]
アイラ島へのフライトですが、なんと 6時間も遅れました。
午前中につく予定だったのが、ついたのが夕方でした。
よくある話なのか、運が悪かったのかは分かりませんが。
ただ、その間に同じくアイラ島へ行こうとしている人達と、話をする機会がもてたのがよかった。
アイラ島は人口 3000人程度のウイスキーと漁業の島で、そこに住む人はこのどちらかの産業に従事している。話をした人はみんなウイスキー関係者で、ポートエレンのモルト製造所と mtg のためにアイラ島へ行こうとする人や、元Bowmore のディレクターをしていたという人、サントリーでしばらく働いたことがある、という人など、何かしらの形でウイスキーに関係した仕事をしていて、かつ気さく、おおらか、その人達がつくる空気・雰囲気には思わず飛行機の遅れも忘れてしまう不思議な穏やかさがありました。
[上空から撮影したアイラ島]
など、色々ありつつ、アイラ島へ到着したのは午後 15:30頃のことでした。
ただ茶色くシンプルに広く続く荒野のような大地を目の当たりにしたときに、
ようやくアイラ島に到着したかと実感。