パラドックス・カリラカスクというビールがあります。


[パラドックス・カリラカスク]

なんとそれは、
ビールをシングルモルトウイスキー・カリラの空き樽で熟成させたビールです。
アルコール分10%程度のストロングビールです。

その試は、自分にとってかなり衝撃的でした。

なぜかというと、それは、
ビールとウイスキーという、端から見ているとまったく違うジャンルの酒をあわせこむ。

という、普段普通に思いもしない試みを製品として形にしているためです。



このパラドックス・カリラカスクの味はどういうものかというと、それは、
スタウトを重く深く、苦味を通して落としこんでいるような感じのするものでした。
同時に、すっぱさもあわせて強調されて出ているので、そこからは、なんだか未完成な印象までもいだいてしまうと同時に、その試行錯誤感がとても印象深いビールでした。


[パラドックス・カリラカスクのボトル裏のラベル]

ボトル裏のラベルには、ビールを熟成させる樽として、このカリラであるアイラモルトをはじめ、スペイサイドモルトやシングルグレーンなど、さまざまウイスキーの樽を駆使している。 と書かれています。 そう書かれると、今後のバリエーション展開に対して、おおいに期待を抱いてしまいます。


直感的には、ビールとは、そのアクセントポイントとして、ヨーロッパのビールやプレミアムモルツに見られるように、華やかな甘めの香りをほのかにかもし出すようなアプローチをとるのが、口当たりのよさや、特別感を演出する上でよいのだと思っています。

したがって、ビールを熟成させるウイスキーの樽としては、アイラモルトより、スペイサイド系のモルトの樽のほうがあっているのでは、という気がします。

また、このようなアプローチをとる新手の製品を目の当たりにしてしまうと、
「プレミアムモルツの山崎樽熟成」 などといったような、国内製品の組みあわせによりなせる酒が、一体どのようになるのだろうか・・・などということが気にかかってしまいます。